奨学金制度はもともと進学を考えているが経済的な理由で進学を断念しないようにという目的で設立された制度です。現在では奨学金を利用する学生は増えてきており、日本学生支援機構の調査によると2020年度の奨学金受給率は48.6%と約半数の学生が奨学金を利用しています。
奨学金は大学が独自に行っているものや、企業、地方自治体などさまざまな団体が制度を設けております。日本学生支援機構(JASSO)が運営する奨学金は利用者が多数いて、その中で第二種奨学金は比較的容易に借りれるため、特に利用者が多いです。
日本学生支援機構は2004年に設立された独立行政法人で、それまで国の奨学金制度を運営していた日本育英会から事業を引き継いで現在制度を運営しています。学生支援事業を実施する文科省管轄の独立行政法人なので、日本学生支援機構が実施する奨学金制度は公的な国の支援制度です。
日本学生支援機構の奨学金には種類があります。返済の必要がない給付型と卒業後返済が必要になる貸与型です。貸与型の中でも無利子で借りることができる第一種と金利がかかってくる第二種が存在しています。
返済が不要で給付される奨学金です。これまでもこの制度は利用されてきましたが2020年度から、利用者の基準を緩和し対象者の枠を広げて新しい制度としてスタートしました。
家庭の収入基準を満たせば、学校の成績だけではなく、レポートや面談を含めて学ぶ意欲も基準に奨学金利用の採用をしていくようになりました。この奨学金の利用対象者となれば、大学や専門学校の入学金や授業料なども免除や減額されます。
貸与型奨学金には、利子がつかない第一種奨学金と利子がつく第二種奨学金があります。第一種奨学金は特に優れた学生や生徒を対象としており採用基準が厳しく設定されていますが、第二種奨学金は比較的ゆるやかな採用基準が設けられています。
第一種
家計基準学力基準が細かく設定されています。家計基準については世帯人数においてわかれています。学力基準では高校生のうちから奨学金の利用予約をする予約採用の場合では高校1年次から奨学金の申込時までの平均成績が3.5以上となっています。
そのほかにも進学先が大学であれば国公立なのか私立なのか、短大か専門学校かによっても分かれていますし、加えて自宅から通学するのか一人暮らしをして通うのかでも月額の貸与額も変わります。
詳しくはこちら「【無利子の奨学金】第一種奨学金を借りるには?申し込み方法・採用基準を徹底解説!」をご覧ください。
第二種
こちらは第一種とは違い、返済の際には利子を付与して返済する必要がある奨学金です。利子の上限は3%と定めれていますが、実際の利率はその時の経済状況によって変化します。
進学先や通学状況などで月の貸与金額に変わりなく自分が必要な金額を自由に選択できます。利用資格もかなりゆるやかな基準となっています。詳しくは次から解説していきます。
2万円~12万の中から希望する金額を1万円刻みで自由に選択することができます。加えて貸与額を増額できる場合もあります。
授業料が高い傾向にある私立大学の獣医学部や薬学部へ進学する人にはさらに2万円、医学部、歯学部へ進学する人にはさらに4万円、最高月額の12万円から加えて借りることができます。
第一種との併用も可能なので、第一種の利用ができる人でも第一種の金額だけでは足らないと考えている人は併用も視野に入れて計画を立てることがよいでしょう。
こちらは第一種奨学金と大きく異なっています。利用者の成績の基準として以下三つのうちいずれかに該当する人となっています。
- 出身学校または在籍する学校における成績が平均水準以上と認められること
- 特定の分野で特に優れた資質能力を有すると認められること
- 学修に意欲があり学業を確実に修了できる見込みがあると認められること
引用:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/about/taiyo/taiyo_2shu/gakuryoku/zaigaku.html
こちら三つのうちいずれか一つに該当することができれば第二種奨学金の利用が認められます。ポイントは三つ目の条件です。
大学に進んで勉強をしようと思うからこそ奨学金を借りるので、進学を考えている人は三つ目の条件を満たしています。
また所得基準も低く設定されており、2019年度の予約採用を例にみると4人世帯で「世帯収入が1100万円以下」となっています。
つぎに第一種奨学金との利用資格の違いをわかりやすく表にまとめたのでご覧ください。
学力基準比較 | 第一種奨学金 | 第二種奨学金 |
条件① | 高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
※経済状況や特化分野による例外あり | 出身学校または在籍する学校における成績が平均水準以上と認められること |
条件② | 高等学校卒業程度認定試験合格者であること。 | 特定の分野で特に優れた資質能力を有すると認められること |
条件③ | なし | 学修に意欲があり学業を確実に修了できる見込みがあると認められること |
備考 | ①と②のいずれか満たしていれば可 | ①~③のいづれかを満たしていれば可 |
第二種奨学金の利息は前述した通り上限が3%ですが、経済状況によって金利の増減があります。利率の算定方法は2種類あり、そのどちらかを選択することができます。在学中と返還期限猶予中は利息はかかりません。
利率固定法式
奨学金の貸与が終わった時に決定する利率が、返還完了まで適用され続ける算定方法になります。
利率見直し方式
返還期間中に約5年ごとに利率が見直される算定方法です。経済市場の金利が上昇すれば利率が高くなり、金利が下がれば利率は低くなります。
第二種奨学金では入学時特別増額を行うことができます。金額は10万円~50万円までで10万円刻みで増額をすることができます。貸与できるのは一度だけです。しかし入学前に借りることはできないためこちらで増額を行っても、入学金に充てることはできないので注意してください。
加えて奨学金の増額を行った場合には説明した基本月額にかかる利率に加えて「増額貸与利率」として0.2%が利率に上乗せされます。
日本学生支援機構の奨学金の申込方法は下記の通り三つあります。
予約採用の場合(入学前に申し込み)
高校生3年次に申込を行う方法です。第二種奨学金については年二回あり、在学している学校の奨学金窓口を通して申請を行います。進学先が決まっていなくても申込ができ、キャンセルも行うことができます。
在学採用の場合
進学してから奨学金の申込を行う方法です。毎年春に募集があり、希望する場合は在学している学校を通じて申込を行います。予約採用で不採用になった場合でも、再度申込を行うことができますが、予約採用でしか申込を行うことができない、奨学金制度もあるので気を付けてください。
緊急採用・応急採用の場合
家計支持者(親など)の急死や離別、失職、病気、災害等などで奨学金を緊急に必要とする場合に申込ができる方法です。第一種奨学金を緊急採用、第二種奨学金を応急採用とよびます。
より詳しい申込書の書き方はこちら「【奨学金申し込み書類の書き方解説】用意するものや申請理由の書く時に役立つ7つの例文を紹介!」を参考にしてください。
奨学金の返済は、貸与が終わった月の翌月から数えて7ヶ月目から始まります。返済方法には月賦返還と月賦・半年賦併用返還の二種類あります。返還方法は一度決めたら、変更ができないので内容を必ず確認しましょう。
割賦金が返還回数に応じて毎月引き落とされる返還方法です。毎月定額で引き落としがあり毎月27日に引き落とされます。申込者の所得に応じて月の返済金額や回数が違います。
返還する合計金額の半分は毎月返済し、もう半分は半年ごとに返済する方法です。1月と7月のみ月賦と半年賦をあわせて返済するため、その月は引き落としの金額が多くなります。ボーナスが入るタイミングなどで多めに返還できる場合はこちらの方が返済期間が短くなるため、利息分を多く支払わずにすむためオススメです。
以上が第二種奨学金の解説になります。第二種奨学金は比較的簡単に借りることができますが、あくまで借金ということには注意しておく必要があります。第一種奨学金と違いこちらは利息がかかってきます。
奨学金制度は返済期間も非常に長いのでその分利息を支払う必要があります。自分の進路にはどれほど費用が必要なのか借りる前から計画を立てておくことが重要です。
また返済が難しい場合には日本学生支援機構に問い合わせて、承認を得られれば減額返還や返還期限猶予といった対応もとることができるので困った場合には必ず申し込みをするようにしましょう。
奨学金が返済できなくなったときのより詳しい対処法はこちら「奨学金を返さないリスクって何がある?滞納した場合の対応方法も併せて解説!」にまとめてありますので、参考にしてください。
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